ドキュメント発達障害と少年犯罪【草薙厚子】

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 僕は、昨年度までの3年間、障がい者の社会生活をサポートする「障がい者支援課」というところに勤務していた。これまで、障がい者といえば、身体、知的、精神の、いわゆる手帳制度を有する3障がいを有する方々のことだったが、近年、その概念は広がり、手帳の有無に関わらず、例えば、発達障害や難病などを抱える方々もその福祉制度の対象となりつつある。特に発達障害は、その障がいの存在が明らかになるにつれて人々の関心が高まり、発達障害とされる人々の数も増えている。

 本書は、かつて、私たちを震撼とさせた3つの事件、「佐世保小六女児同級生殺人事件」、「静岡タリウム少女母親毒殺未遂事件」、「奈良エリート少年自宅放火殺人事件」における加害者である少年少女たちと発達障害との関連をレポートしたものである。「佐世保」事件(2004年)は、長崎県佐世保市で起こった小六女児が学校内で仲の良かった友だちをカッターナイフで殺害した事件、「静岡」事件(2005年)は、静岡県伊豆の国市の女子高生が母親に酢酸タリウムを少しずつ飲ませ、その苦しむ様子をブログで公開していた事件、「奈良」事件(2006年)は、名門私立高校の生徒が自宅に放火し、家族3人が亡くなった事件である。

 いずれの事件の場合も、少年少女たちは何らかの発達障害を有していたことが判明するが、著者は、「発達障害」だからそのような重大事件を引き起こしたということを言いたいのではなく、彼らの生育過程において、家族や周囲の人々から、発達障害の持つ障害特性を理解し支援するサポートがなかったことを指摘している。彼らの障害特性を十分に理解し、また、本人たちも他人にはなかなか言えない生きづらさを抱えていることを理解してあげることができれば、今後このような悲しい事件は減っていくと思うし、そうなることを願いたい。


ドキュメント 発達障害と少年犯罪 (イースト新書) (イースト新書 29)
イースト・プレス
草薙厚子

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