刑事の結界 ~叩き上げ警部補 島田伸一の事件簿~

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 本書のタイトルにある「結界」とは、もともと仏教用語で、聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ることをいうらしい。ということは、・・・刑事という職業の聖なる領域と俗なる領域との区分か?本書の内容がタイトルどおりかどうかはちょっと解明できなかったが、確かに、刑事のヒーローものではないみたいだ。本書に登場する島田伸一刑事の弱い部分も隠さず描いてある。

 警察官は公務員だ。そして僕も一般行政の公務員だ。しかし、両者には大きな違いがある。警察官は、消防士や自衛隊員と並んで、体と命を張る職業だ。有事となれば、真っ先に駆けつける勇気ある人々だ。しかし誰もが、初めからそうであるわけではない。いろんな場数を踏み、さまざまな経験を積むことによって、立派な職業人となるのだ。特に、警察のような強いタテ社会では、若い新入は上からさんざんこなされる。そうやって優秀な刑事が生み出されていくのだろう。一般行政の社会ではまずありえない光景だ。ある意味、反省!

 本書では、島田氏が関わった12の事件を「事件簿」という形でまとめた朝日新聞社のルポルタージュだ。だから、小説のようにミステリアスでもなければ、刑事ドラマのような派手さやエンターテインメント性もない。淡々と島田氏を取材したノンフィクションだ。だから、逆に、リアリティがあり、事件現場でのやりとりはワクワクドキドキさせるものがある。現職警察官の方々、とても忙しくて本書を読む暇なんてないだろうが、たたき上げの先輩の生きざまを心に刻むことも仕事の糧になるのではないだろうか。



 

 




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